2017.04.17 Monday
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闘牛にもフラメンコにも関心がない人間が、1975年に食べたタパスの味が忘れられなくて、2002年にスペインに来てマドリードからバスクの街イルンへと…
その生活で頭に浮かんだことの用途のない備忘録
2013.02.27 Wednesday
スペインはこの一週間は寒波に襲われて凍える寒さに閉ざされている。イルンも毎日のように小雪が舞うありさま。
自転車を楽しむ気候ではないようだ。
本屋と食品マーケット巡りが無難なところだろう。
ということで高級スーパーのAMARAの店内を見て歩いていると、肉の売り場でiberico bellota(ドングリ豚)の小さなパックが目に入った。
久しく食べてないなぁ〜。
イベリコ豚には等級があって:
* Aランク:コルク樫の林のドングリで100パーセント肥育したもの
* Bランク:コルク樫の林と濃厚飼料で肥育したもの
* Cランク:濃厚飼料で100パーセント肥育したもの
最近日本でもイベリコ豚は人気があるが、Aランクのイベリコはそれほど生産量が多くはない貴重品だし、日本で見るのは肉質を見ても多分Cランクの肉だろうと思う。
Aランクはサシが入った和牛の風情で、昔マドリードのデパートのコルテ・イングレスの特選品売り場で初めて見たときは、松坂牛?と一瞬勘違いしたほどだ。
だが色が浅すぎる。聞いてみたらこれがドングリ豚だと了解した。
値段は松坂牛なみだった。
以来、僕はドングリ豚を《松坂豚》と呼んで笑われている。
さて購入したドングリ豚はどうする?
平凡なことだが日本流の生姜焼きにした。
滋味深き絶品。
リベーラ・デ・ドゥエロの赤ワイン:ペスケーラが最高に似合うのだった。
2013.02.21 Thursday
いまは午前2時半、僕はイルンの家の居間から柔らかなオレンジ色の光の街灯に照らされるコロン通りを見ながらパソコンを叩いている。
本当にこの街が好きなのだなと心から思う。
恵比寿の家の窓から外を眺めても見えるのは無味乾燥なマンションの外壁ばかりで、とくに最近はひどいストレスを感じているから。
2月19日の午前3時に起きて羽田―ロンドンーマドリードーサン・セバスティアンと26時間かけてイルンの我が家に辿りついたのだった。
羽田から国際線に乗るのは1975年以来のことで、あの時は初めてのスペインへの旅だったし、ヒースロー空港がピカピカの時代だった。
そう、あの年はカーネーション革命でポルトガルのサラサール独裁政権が倒れ、スペインではフランコが死んだイベリア半島が揺れた激動の時代だった。
タクシーを4時半に呼んで乗り込むと僅か20分で羽田空港に着いた。成田空港への場合には家を出てから2時間強もかかるのに。
ロンドンのヒースロー空港から都心までは列車で15分、マドリードのバラハス空港から都心までは地下鉄で20分なので成田空港の不便さを実感する。
2月18日の週には人員削減に抵抗するイベリア航空労組がストを予告してスペイン国内の便は70パーセント以上が欠航。
僕は幸いにもインターネットで早割りを予約していたので、イベリア航空から絶えず旅程変更通知とそれを受け入れるかの質問が届いて、結局はマドリードーサン・セバスティアンの最終便に乗ることになった。
ただマドリードでの乗り継ぎ時間は5時間。
こんなに空いているバラハス空港は初めてだ。客は少ないがカウンターの職員も少ないのでチェックインには時間がかかる。おまけに職員がもう時間だよと云わんばかりに客はそっちのけでカウンターを閉じて帰ってしまう。
2列向こうに開いているカウンターがあるのでそっちに行ってくれだって。
そちらに行くとアメリカ人らしき女性客が大声で怒鳴っている。『私の便をストで勝手に欠航させておいて、他の便は満員なのでチケットは発行できないとは何ですか!』と。
職員の声は聞こえなかったが聞く耳を持たないのは身振りでわかる。女性客が怒るのは尤もだと思ったが、別のカウンターが空いて僕はそちらに向かったのでその後の顛末は分からなかった。
チェックインしてターミナル4に行くと此処もガラガラ。飲食コーナーにも客はいない。
カウンターの中のお兄ちゃんを眺めていたら、することがないらしく壁際に並ぶビールのストッカーに行き、サン・ミゲールの500ミリリットル缶を取り出してカウンタの後ろの裏方に入ってビールをガーッと飲み始めた。
僕は長い旅なので酒類は控えていたのだが、この《ガーッ》を見たら急に喉の渇きを覚えた。ボーディングまでまだ3時間もあるし、旅の最後に残るのは1時間強のフライトだけだ。
早速陳列棚に行って赤ワインのハーフボトルとサンドイッチ2つを手にとってカウンターに近づくと、ほんのり赤くなった顔のお兄ちゃんが出てきたので19ユーロ払ってテーブルについて僕も晩酌を始めた。
20時30分にマドリードを出発すればサン・セバスティアンには22時には着くだろう。
この長旅の締めくくりは風情のある小型の双発プロペラ機だ。