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恵比寿にて〜23

《中南米史を読んでいたらスペインが植民地化したボリビアのポトシ銀山では、過酷な労働で800万人もの先住民が犠牲になったという。
僕が以前住んでいたマドリードの家のそばにポトシ通りがあった。何の気なしに通っていた道にも暗い歴史があったのだったと知った。スペインにとっては栄光の一幕であったのかも知れないが。
 
《麻布十番に子羊肉の専門店ができたという。日本でのマトン=ジンギスカン=美味しくない肉という先入観は全くの誤解だ。
僕はスペインではまっているのはcordero(1歳未満の仔羊)のあばら肉だ。あばら骨にこびりついた僅かな肉を炙って歯でこそげ落とすのだ。骨からしみ出す旨みを含んだ肉は本当に美味しい。だが高価だ。
牛肉のヒレ肉(solomillo)は1キロ35ユーロで、仔羊のあばら肉(chuletilla)も価格は同じ。ただ骨付きの仔羊のあばら肉は三分の一しか食べるところが無い。

本格的なchuletillaをご馳走になったことがあった。乾燥したブドウの蔓を燃やしたあとの熾きで網に挟んだ塩を振ったchuletillaを炙るのだった。ブドウの香りがつくのだ。
葡萄酒はRibera de Dueroの赤は最高のお供だ。

 
Lauburu | 東京で | 15:14 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

恵比寿にて〜22

台所の引き出しを開け閉めするたびに、瓶がゴロゴロ転がって気分が悪いので仕切りを作るために加工しやすいバルサ材を買いにハンズに行った。
店内を歩いていると《うどんや風一夜薬本舗のしょうが湯》が目に入った。子供の頃に風邪気味だと母が飲ませてくれた懐かしいもの。まだあったのだとびっくり。
むかし大阪では、寒い夜には鍋焼きうどんを食べてしょうが湯を飲むと風邪を引かないと云われたそうだ。そこでしょうが湯はうどん屋で売られていたという。
早速購入。薬よりも鍋焼きうどんと生姜湯を信じよう。

 
《サメとフカは同じものの別名だと思っていたら山陰地方では大型のサメをフカと云うそうだ。
タカとワシ、クジラとイルカの呼び名と同じらしい。
日本伝統のイルカ漁が国際的に批判されている。調査捕鯨批判の延長だろう。
僕は西欧の勝手な美学だと思う。
だが古今東西の兵法では孫子からクラウゼビッツまで二正面作戦は否としている。
靖国で東アジアの感情を害し、クジラやイルカで西欧の感情を害することで何が得られるのだろうか。
 
《日本でもフォアグラを批判する人たちがいるようだ。
僕は大好きなのでフランス国境に接するイルンに帰ったら大いに食そうと思っている。
日本の賃貸ビル市場を調べに来た肉や魚を一切食べない若い米国人と知り合いになったことがあった。先祖がリトアニア出身のユダヤ系で彼に杉原千畝氏の話をしたら感動していた。
《なぜ肉や魚を食べないの?菜食主義者なの?》《子供のころ父が屠殺場に行く牛は本能的に察知していやがるのだと教えてくれたのです。それから私は動物は食べなくなりました》
フォアグラ批判者が牛や豚や鶏を食べているとしたら、僕はこんな連中とは倶に天を戴きたくない

 
 
Lauburu | 東京で | 15:14 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

恵比寿にて〜21

知人から新年挨拶のメールが来た。その中で区役所の窓口の民営化は素晴らしいという文言があった。
以前、私的なサークルで渋谷区役所恵比寿分室の会議室を使ったときだった。終業時間の5
時に鍵を返しにゆくと文句を云われた。彼らの終業時間とは身支度を終えて帰る時間だったのだ。社会常識とは関係ないことがまかり通っているのだった。
僕はこんな連中にオレの税金が使われているのかと呆れてしまった。

 
《僕が入学した中学は面白い学校だった。Kさんという漢文の教師は授業の始まる前に教科書を捧げて皇居の方向に遙拝するのだった。
僕はこの教師が好きだった。誠実だった。
彼は韓信の股くぐりの故事を解説したり、宮沢賢治の《サウイフモノニ ワタシハナリタイ》を教えてくれた。彼は何を云いたかったのか。今になって分かってきた。
目標を描け、全ての行為はそれに向かって必要なことを積み上げることだ、と。
 
午前2時頃にヘリの轟音で目が覚めた。僕の家から直線距離で300メートルの都立広尾病院に離島の急患を移送するからだ。
とは云っても年に2〜3度だ。
沖縄の基地の近くの人たちは耐えがたいのだろうことはよく分かる。
沖縄の基地問題は日米問題ではなく国内問題だと思う。イヤなことは沖縄に押しつけて自分は引き受けたくない心情が見えすいている。
大昔、広尾病院のヘリポート建設への反対署名を求めにきた連中がいた。近所の人間でないので《どこから?》と訊いたら都下だという。僕はこれは近隣の問題だ、大きなお世話だといって追い返した。

 
《僕は有名人の結婚や離婚が興味の対象になることが不思議だ。人の私的なことは僕には関係ないから。
シラク大統領の一件は比較文化論として興味がある。以前ジスカールデスタン大統領がモデルの女性とのデートを見つかったときにフランス国民は興味を示さなかった。
英国の英雄ネルソン提督を描いた《美女ありき》という映画があった。彼の栄光と不倫の記録だが、当時の英国民は云ったそうだ:
《英国はネルソンを必要とする》

 
ジョギングを始めて1ヶ月、脚のヨタツキも徐々に薄れてきた。
読書、自転車、食欲の生活にマンネリを感じていたので、このチェンジアップは素晴らしかった。
新しい生活のリズムが脳を励ましてくれているようだ。
億劫だが加齢とともに未知の分野に踏み込んでゆくことが必要なのだろう。

僕は神道に無知なので、近くの國學院大學のオープンカレッジのパンフを貰ってきた。

26年度は4月から始まるのだがイルンと恵比寿の二股生活の僕には無理なようだ。
二股生活は今まで大きな利点があった。今後はどのように活かすのかを考えるべき時期に来ているようだ。

 
 
 
Lauburu | 東京で | 12:41 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

恵比寿にて〜20

【日本は世界の食材は何でもある便利な国だ。そこで他国で食した珍しいものを思い出してみた。
マレーシアに長女と行ったときだった。二人ともドリアンにはまってしまった。何しろ美味だ。だが独特の臭いがあるのでホテルの玄関には交通の禁止標識の中央にドリアンの絵が描いてあるくらいだ。
二人でオランダ人の新婚夫婦とメルセデスの観光タクシーで出かけたときだった。
中国系のショーファーが街道のドリアン露店の前で停車してドリアンは好きかと訊く。僕らは飛びついた。
新婚夫婦は嫌悪感を示す。ショーファーはヨーロッパでは蛆入りのチーズを食べるではないかと不愉快そうに云う。夫婦はそんなことはないという。
調べたら無菌培養した蠅にチーズに卵を産ませるものがあるらしい。それにしてもショーファーは何で知っていたのだろう。

 
ポートワインの発祥の地、ポルトガルのオ・ポルトを訪ねたときだった。
バルの看板にカラコーイスとある。僕はカタツムリは好きなので早速注文する。
皿に山盛りの小指の先ほどの大きさのカタツムリが出された。キョトンとしているとオヤジが目の前にあるワインのコルク栓に刺された虫ピンでほじくるのだという。
白ワインと塩ゆでのカタツムリは相性が良いのだが全部食べきる根気がなかった。
(スペインではカタツムリを八百屋で売っているのはどうしてなのだろう)

ふと横を見ると豚の生姜焼き風を挟んだハンバーガーを作っていた。ヨーロッパで肉の薄切りを見たのは初めてだった。早速注文して今度は赤ワイン。もちろんショウガは入っていなかったが美味。マックのハンバーガーの胡散臭さがないだけに安心だ。

 
 
Lauburu | 東京で | 14:46 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

恵比寿にて〜19

【昼下がりに電話が鳴った。
落ち着いた大人の声が云う『亡くなった奥様の医療費還付金があります』『家内が死んだのは25
年前ですよ』『事務上の手違いで見落としていました申し訳あ りません。手続きを円滑に進めるために携帯電話の番号を教えて欲しいのですが』『携帯は持っていません(嘘です)、役所が還付するときには正式書類で申請 するのが普通です。書類を送ってください』『分かりました』と云って電話はプツン。
さっそく渋谷警察に事情を報告した。
歳をとるとこんな単純なペテンに引っかかるのかと気を引き締めた。

 
【本の価格を比べると日本はスペインよりもかなり低い。総人口と読書人口の違いだろう。
だがどうにもならないのは食材の価格が日本が圧倒的に高いということだ。
イルンのあるバスク州はスペイン17
州の中で最も所得水準が高いので物価も高い。
しかし東京に比べれば何のことはない。
僕はクレジットカードで買い物をするので送られてくる明細を見ていると東京の生活費の半分くらいだ。食べているものの質はイルンの方が上なのに。
デフレで物価が低迷しているのが問題だという。しかしもっと問題なのはそれ以上に所得が下がっていることだろう。所得に対して物価が高すぎる。

 
【朝早く自転車で神宮の絵画館に行ったらパテック・フィリップの催事があるという。
ガードマンに訊いたら、ジュネーブのパテック・フィリップ博物館の所蔵品が絵画館の中で展示されるという。入場料は500
円だそうだ。
以前、スイスに留学していた後輩を訪ねたときにジュネーブのパテックの博物館を訪れた。200年近い歴史を持つ素晴しいの名品の数々。
スイス時計業界は日本のクォーツ時計攻勢に苦しんだ。
だがスイスの時計は完全に復権した。精度の高い加工技術を守り抜いた賜物だ。
安物に妥協しなければ日本の製造技術は必ず復権するだろう。
鶏か卵かとは云うが、苦しくても安物あさりはよそうよ。天に唾するようなものだから。
 

 

 
Lauburu | 東京で | 18:22 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

恵比寿にて〜18

【TVでジェーン・オースティンの《プライドと偏見》を観た。
中学生のときに英語の教師に《Pride and prejudice》を訳してみよと問われて、僕は《プライドと偏見》と答えた。教師は云った『翻訳は難しいが和洋折衷で誤魔化すな。日本語の対句で《高慢と偏見》と云うべきだ』と。
英語に精通する人に教えて欲しいのは《プライド》と《高慢》の違いだ。
 
【広尾商店街のなかに祥雲寺がある。周りとは違う閑静な区画で僕はよく散歩する。
何か京都御所の裏通りを歩いている感じだ。
ところが最近人が多くなってきた。黒田長政の墓があるためらしい。
この寺には岡本玄冶の墓がある。与話情浮名横櫛の玄冶店(源冶店)で知られる人物だ。
春日八郎の《お富さん》の歌詞を頭に浮かべながら散歩したものだ。
これと比べれば豊臣も黒田も詩がないよね。
 
【都知事選に原発問題を争点にする以上、電力消費が圧倒的に高い東京の電力負荷を減じるエネルギーの最適配分計画や最適配置計画を具体的に示さなければならないだろう。
それで初めて東京が脱原発の先導者になれる。
裏付けの計画がない耳に心地よい脱原発はもうたくさんだ。
後期高齢者や準後期高齢者のタッグは気持ちが悪い。
後期高齢者のほうは佐川との金銭貸借問題で任期1年で首相を辞任したと記憶しているのだが。
都民もなめられたものだ。
 
【長女の連れ合いがくれたAntonio Molinaの《La noche de los tiempos:あの時代の夜》を読んだ。
内戦勃発の前夜から始まる、家族を捨ててペンシルベニアに去った愛人を追う建築家の精神的不安定…幻聴と幻覚のよりどころのない不安…カフカを読んでいるような錯覚にかられる。
小さな文字の1000ページのペーパーバックは老眼には厳しかった。眼鏡を更新しなければ。
スペイン文学は内戦から切り離しては存在できないようだ。精神的不安と暗さ、そして何か血のにおいを感じる。
情熱の国スペインとは何をさして云うのだろう。

 
Lauburu | 東京で | 18:26 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

恵比寿にて〜17

【高校時代に痛めた右膝と腰椎の保護のために医者に勧められた筋トレ。
50回の腹筋運動は50年、15キロの自転車は40年続けていて、右膝に自信が持てたので最近はジョギングも始めた。
長生きをしたいわけではない、はた迷惑にならずに自立して生活をする身体を保ちたいから。
超高齢化社会で高齢者が深刻に思い詰めないといけない現実だと思う。

 

【房総料理店で珍しいウツボの干物をもどした煮込みを食した。
ゼラチン質が多くて美味だがハモと同様に小骨を捌くのが厄介だそうだ。
スペイン人も魚好きだ。ウツボを食すのか。さっそくインターネットで検索。
ウツボはmorenaと云うらしい。morenaとは浅黒い美人のことだよね。醜いご面相のウツボとは似つかない呼び名だ。
カナリア諸島で食されているという。唐揚げで塩を振って食べる素朴なものらしい。ゼラチン質が多ければ余計な手を加えなくても十分に美味しい。
アンコウ(ラペ:rape)と同じだ。

 
【今年の一番の冷え込み。人の出も少ないだろうと滅多にない銀座に出向いた。
23歳の時に初めて勤めた日本橋から銀座八丁までゆっくりと歩く。
銀座の素晴らしさは電線がないことだ。
欧米の主要都市で醜い電線が空中を汚しているのは殆ど見ない。
僕の愛した室町の印度カリー店は消えていたし、ガスホールビルも建て替えられていた。
事務所が7丁目にあったとき昼食に通った《羽衣》にゆく。具は別皿の淡白なスープの《かけラーメン?素ラーメン?》が好きだったから。
味は変わらなかった。ただ具は圧倒的に豪華になってはいたが。
羽衣には今は亡き巨漢の中国人の支配人がいた。左には手首が落ちそうな分厚い金のブレスが何かを語りかけていた。僕は彼の豪放さが好きだった。
餃子の権威と自負する知人が僕に餃子の講釈をしていた時だった。支配人がやってきて大声で云う:《ちがうよ〜、ニラなんか入れるのは貧乏人の餃子だよぉ〜。豚肉と白菜をミンチして水餃子にするんだよぉ〜》

 
Lauburu | 東京で | 12:09 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

恵比寿にて〜16

1月6日の朝、スペインの子供たちは目覚めたときにベッドの下にある贈り物を見て大喜びだったろう。
スペインの子供にとって1
月6日のEl día de los reyes magos:東方の三賢人の日は待ち遠しい日なのだ。日本の子供が12月25日の朝が待ち遠しいように。

1月5日の夕方、マドリードのデパートの子供向け商品の売り場はごった返していたのを思い出す。

12月25日にベツレヘムの上空で輝く星を見た三賢人のガスパール、メルチョール、バルタサールは、神の子が生まれたと知って贈り物を携えて馬でベツレヘムに向かい1月6日に着いたという。
プラド美術館の三賢人の図を見ると一人はアフリカ系の肌の色をしている。《東方の》という言葉にはエジプト以南あたりまで含まれるのだろうか。
スペインで最高の権威を持つナダル文学賞が1
月6
日に発表されるのが面白い。
 
 
Lauburu | 東京で | 18:16 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

恵比寿にて〜15

この5年間に読んだ現代文学で一番印象に残ったフランシスコ・カサベージャ(Francisco Casavellaの《僕がバンパイヤについて知っていること:Lo que sé de los vampiros》を読みかえす。
奇妙な壮大さを持った、人間の矜持と生への執念と狂気の作品とでも云うべきだろうか。散りばめられたラテン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語のフレーズに悩まされ、机には各言語の辞書が並ぶ…
スペインの人は誰でもこのような多彩な言語を自由に読みこなせるのだろうか?
衒学趣味が強すぎないだろうか?

それを割り引いても、ハードカバー600ページの長編を僕に読ませたのは、人間の矜持とは何かを訴えるものがあったからだ。
現代日本文学では現れることのない縦横無尽な発想。鳥もちに絡まれたような粘着力。理性と狂気と幻覚と醜悪の化合物。作家はこれをバンパイヤに見立てているようだ。
 
著者は45歳で急死してしまった。もっと読みたかった。
 
 
Lauburu | 東京で | 16:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |

恵比寿にて〜14

《イルンには美味しいものが沢山ある。だから恵比寿に戻った時には日本でしか味わえないものを味わっている。
僕の正月の楽しみは取り寄せたコノワタだ。
コノワタをチビッと口に含むと磯の香りが口のなかにふぁ〜と広がる。
そこで喫するのは日本酒しかない。ただコノワタの個性を殺さない本醸造に限る。
純米大吟醸は自己主張が強すぎるから。

 
《朝の8時に広尾商店街を自転車で走っていたら銭湯が開いていた。
なぜ?正月だからだろう。
僕は40年近く銭湯には行っていないので家に帰って支度をして訪れた。若者から僕よりもお歳をめした人まで盛況だった。
若者は云う《サイコーだ、気持ちいいな、朝風呂って。でも何で銭湯には富士山の絵が描いてあるんだろう。縁起担ぎなのかな?》
年配者は云う《霊峰富士の頂上の雪が溶けて伏流水になってこの風呂に流れ込んでいるのさ》
僕も知らなかった。

知識交換場所の浮世風呂の価値を感じたのだった。
 
Lauburu | 東京で | 14:31 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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